ジュエリー・バイヤーズ・ダイアリー

2014年8月28日

夏の終わり

早いものでもう8月も後半。

最近は朝晩がとても過ごしやすくなり、夏の終わりを感じる今日この頃です。

私事ですが、不覚にも、「帯状疱疹」なる病気にかかってしまい、ここ1週間は、ペースを緩め、できるだけ休養をとるような生活を送っています。

原因は、とあるオークションで、一日中エアコンの風を直に受けた結果、体温が下がり、免疫力が低下し、体の中に潜んでいたウィルスが出てきてしまったようです。

「冷えは万病の元」と言いますが、まさにその通りで、今後、夏のエアコンには、十分に注意したいと反省しています。

ただ、幸いなことに、異常に気付いてから、睡眠時間を増やし、体力の回復に努めましたので、それほど悪化せず、現在、順調に回復中です。

しっかりと治して、また精進したいと思います。

皆様も、知らず知らずの間にたまった夏の疲れで体調など崩されないように、しっかりと、栄養と睡眠をとって、涼しい秋を気持ちよく迎えてください。

2014年8月14日

お盆休みで鹿児島へ

今年は、開店以来はじめてお店の夏季休暇(お盆休み)をとらせていただきましたので、そのお休みを使って、鹿児島へお墓参りへ行ってきました。

今回は、妻のコーディネートで、指宿の薩摩伝承館を訪れてきました。

鹿児島駅から、特急 指宿のたまて箱 で1時間の旅。

Tamate
はじめての薩摩伝承館でしたが、「大名茶の時代 - 薩摩と九州山口の茶陶」というイベントを開催中で、白薩摩や黒薩摩の焼き物をはじめ、歴史的にも希少な様々な焼きみることができました。

また、とても美しい絵柄の焼き物も多くあり、宝飾品のデザインの参考にできそうな絵柄も多くありましたので、とても有意義な時間になりました。

それから、鹿児島駅前の下堂園茶舗も立ち寄ってみました。

鹿児島のお茶を全国へ、世界へ発信しているオシャレ系お茶屋さんです。

鹿児島発祥の企業が活躍している姿を見ると、素直にうれしい気持ちになります。

またその姿から学ぶことも多いので、私たちも志を高く持ち、日々、精進していきたいと思います。

今回、仕事(出張)の関係で日帰り旅行になりましたが、メインのお墓参りも無事に終わり、とても充実したお休みになりました。また、明日からがんばります。

2014年8月 1日

買い付けダイアリー@名古屋・東京

7月は、暑さに負けず、名古屋と東京に宝飾品の買い付け(オークション)に行ってきました。

今回の目玉は、約8ctのサイズのブルーサファイア。

古い枠で、鑑別(分析)未ですが、おそらく非加熱、ビルマ産の逸品。

S8

結果、予想落札価格の範囲内ではあったものの、予算オーバーで撃沈・・・。

そのほかには、約0.8ctのアウイナイトのリングが出品されており、こちらもチャレンジしましたが、紙一重で落札することができませんでした。

これらの希少性があり、品質の高い石を扱うためには、今以上の販売する力をつける必要があると実感。がんばろう。

全体的には、良いものと、そうでないものの2極化がより進んでいる印象で、希少性の高いもの、品質の高いものは人気が集中し、相場も強気ですが、品質の良くないものは、ほとんど評価されていませんでした。

また、一時期、相場の上昇がとまらない状態であった大粒のカラーストーンは、夏休みを控え、小休憩の相場といった印象でした。

東京での帰りは、日本有数のカレー専門店「スパイスカフェ」で食事をして、帰り道に東京スカイツリーを眺めながら帰路につきました。

今回の買い付けで学んだことを、今後の商いに活かしていきたいと思います。

Tower

2014年7月17日

宝石試験@社内勉強会

昨年、夏より毎月1回のペースでスタッフ向けの宝石勉強会を開催しているのですが、先日、1年の勉強の成果を確かめる試験(筆記&実技)を実施しました。

筆記は、ジュエリーコーディネーター3~2級程度の難易度ということでしたが、これがなかなかに難しく、平均点が約60点という結果でした。

たとえば、ルビーについの設問で、

コランダムの中で、主として(①)に起因する赤色のバラエティーをルビーと呼ぶ。この他に含まれる元素の量が色調に大きく影響を与えており、酸化鉄が増えるにしたがい(②)が強くなり、また酸化チタンが増えるにしたがい(③)が強くなる傾向がある。

答えは・・・①酸化クロム ②黒味 ③青味

色石の色の違いが何に起因するのかの知識を問う問題ですが、やはり、日々、宝石を扱うものとしては、感覚だけでなく、知識として理解しておく必要がありますので、今後も勉強を続ける必要性を実感しました。

また実技試験は、用意された20石のカラーストーンの鑑別を行うというもので、平均点は約70点という結果になりました。

Gia 
私は、20石中3石、間違ってしまいました。

その3石は・・・「染色クォーツアイト⇔クリソプリーズ」、「トルマリンキャッツアイ⇔ペッツオタイト」、「ブラックオパール(加熱処理)⇔ガラス」でした。

特に、3番目のブラックオパールは、新しい産地であるエチオピア産のさらに加熱処理されたもので、初めて目にする石であったため、模造石として判断してしまいました。

このような新しい産地、処理がされた石については、常に、その存在を意識して、勉強を重ねなければ、誤った判断をしてしまいますので、より一層の注意が必要であると感じました。

今回、筆記&実技の平均点で、80点以上を合格ラインと考えておりましたので、すぐに来月の再試験が決定しました。皆で合格を目指してがんばります!

2014年6月29日

企業の社会的責任(CSR)について

Rapaport公正取引宝石会議がラスベガスで6月に開催され、企業の社会的責任(CSR)を宝石サプライチェーン全体で促進するための広範な価値理念が示されました。

1.採掘業者から消費者に至るまで、宝石産業において全ての人が大切であると認め、その考えを支持すること。そうするために、宝石業界全体が商品と商品の感情的価値観を改善していくよう協力して努力すること

2.商品を市場にもたらす人達それぞれの努力によって、宝石そのものの価値だけでなく人間的感情面の価値を含む絶対的な美の概念を作り上げること

3.サプライチェーン内の全ての人がこの目標達成向けてお互い助け合うよう奨励すること

4.宝石産業内の健康基準を確認すること

5.あらゆる場所、部門において環境責務を支持すること

6.宝石業界が作っている商品がどんなものか、どのように作られているのかを様々な場所で教育する援助をし、できれば業界内で働く人達に他の分野で使える教育を施すこと

7.サプライチェーン内において使用できる基本的最低限の安全基準をつくること

8.様々な部門、特に採掘部門において継続維持できる仕事の多様性を支持すること

9.宝石類を貧困軽減ツールとして使用するという概念を奨励すること

10.人道的サプラインチェーンの美的感情的価値を奨励すること

Rapaportグループ会長のBraunwart氏はこの理念の人間的な要素と商品を、業界以外の人に届ける必要があることを強調しました。

「結局詰まるところは人間です。人間が商品を売りに出し、人間が購入するのです。我々の商品にポジティブな印象をもってもらうため、私たちが何をしているのかについて人間対人間の理解を深める必要があります。」

ただ売るだけでなく、社会的な責任を考え、また、どのような想いを持って、商品を販売しているのかを、明確に打ち出していくことが、これからの宝飾品業界の発展には必要不可欠だと感じています。

誰を喜ばせて、誰を幸せにするために、商品を仕入れて、加工し、販売するのか?

今一度、原点に立ち返り、自分たちの存在意義を見つめ直す良い機会にしていきたいと思っています。

2014年6月 9日

美術館巡りの旅~2014年慰安旅行

5日間のお休みをいただき、富士河口湖~箱根周辺の美術館と温泉をめぐる旅に行ってきました。

まずは、静岡富士空港経由で河口湖へ。

ちょうど梅雨入りが発表されたため、富士山を見ることはできないかと心配しておりましたが、雲の切り目から、幻想的に浮かび上がる富士の姿を拝むことができました。

Fuji_2

それから、河口湖のほとりにある、山梨宝石博物館 を訪れ、多種多様な宝石の原石、カット石を見てまいりました。

中でも、ブラジル産のアクアマリン約140ctの美しさと、そのサイズに驚きました。

比較的、大きなサイズも産出されるアクアマリンですが、100ctオーバーのサイズは稀で、さらに美しさを兼ね備えているものとなると、非常に希少性が高く、はじめて目にしました。

さすがに、ルビーやエメラルド、サファイアなど、高価な色石では、美しいものは展示されておらず、全体的に、展示品の迫力には欠ける内容ですが、それでも、多くの種類の宝石を一度に見ることができる点においては、宝石のことがよく分からない方など初心者の方にとっては、よい博物館だと思いました。

それから、箱根に移動し、箱根ラリック美術館 へ。

アール・ヌーヴォーとアール・デコの時代を駆け抜けた宝飾とガラス工芸作家、ルネ・ラリックの作品が展示されている美術館です。

展示されている作品は、彼の作品の中の一部ではありますが、それでも、宝飾品という域を超えた、美術品と呼ぶにふさわしいオリジナルの作品を見ることができ、自分が持つジュエリーの概念を、よい意味で破壊することができました。

ほとんどの作品は、石や素材としては価値の低いものが使われているのに、それらの組み合わせと、独特なデザイン、精巧な作りの技術で、唯一無二の宝飾品が出来上がっていることに驚きました。

またそれにふさわしい美術館全体の雰囲気やスタッフの対応、自然との共生など、穏やかな気持ちで一日中ゆっくりと過ごせる、とてもよい美術館です。

いつか当社でも、このような美術館を作ることができたらいいな~と少し夢見ることができました。

最後は、ポーラ美術館 で、ピカソや、モネ、シャガールなどの名画を鑑賞し、福岡に戻ってきました。

4泊5日の旅行日程でしたが、普段とは違った環境に身をおき、芸術と美術、自然のエネルギーを浴びて、とてもリフレッシュすることができました。

来年は、海外へチャレンジしてみたいと思い、そのために、しっかりと仕事をして、世の中の役に立ちたいと思います。

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2014年5月22日

ダイヤモンドのブラウン味について

カラーダイヤモンドには、イエローやピンク、ブルー、グリーンなど様々な色合いが存在しますが、中でも産出量が多いのがブラウンカラーの入ったカラーダイヤモンドです。

そして、ブラウンのダイヤモンドは、その色合いの濃さや、割合、明度などにより、様々な呼称が存在します。

例えば、ファンシーブラウン、ファンシーライトブラウン、イエロイッシュブラウン(黄色味のあるブラウン)、ブラウニッシュイエロー(ブラウン味のあるイエロー)、ピンキッシュブラウン(ピンク味のあるブラウン)など。

また、ピンクとブラウンの色味は紙一重であることは多く、鑑定機関でも、見方が分かれる場合が多いです。

例えば、以前、当社で取り扱ったダイヤモンドの中で、以下のような事例がありました。

Eshop_235934 
中央宝石研究所:FAINT BROWN-PINK(※ブラウン49%、ピンク51%程度という評価)

GIA:FAINT PINKISH BROWN(※ピンク味のあるブラウンという評価)

まったく同じダイヤモンドでも、鑑定機関の見方によって、大きな違いがでた事例です。

そのほかにも、

中央宝石研究所:FANCY LIGHT ORANGY PINK(※ファンシーライトのオレンジ味のあるピンクダイヤモンドという評価)

GIA:LIGHT PINK-BROWN(※ライトグレードのピンク49%、ブラウン51%という評価)

ということもありました。

一概には、言えませんが、国内の鑑定機関に比べて、GIAのほうが、ブラウンについての見方がシビア(厳しい)傾向にあるようです。

世界的なオークションハウスにおいては、カラーダイヤモンドの評価はGIAのレポートが最も信頼されている理由がよく分かります。

グレードを依頼する側の事情に関係なく、公平な立場で、シビアにグレーディングを行ってきた結果が、信頼を勝ち取っているのでしょうね。

2014年5月13日

ダイヤモンド相場サイクル

ダイヤモンド業界には相場のサイクルがあります。

通常、第一四半期(1~3月)が活況だと、その反動で、第二(4~6月)、第三四半期(7~9月)は低調になります。

ここ2~3年は例外なく、そのサイクル通りに相場が動いており、今年も4月は、取引相場はやや低調モードでした。

これから夏にかけて、横ばいかやや弱気な相場が続くことが予想されます。

ただし、国内の取引価格については、ダイヤモンド国際相場+為替の影響がとても大きいので、仮に為替が105円以上の円安になるようであれば、国内価格は、上昇する可能性もあります。

相場の安い時に仕入れて、高い時に売ることができれば、ベストではありますが、株のプロフェッショナルが株の相場先行きを見誤るように、ダイヤモンドの相場も予測がとても難しいです。

ただ、為替などの条件が変わらないのであれば、前述したように、ある一定のサイクルは存在しますので、売買の参考にしていただければと思います。

2014年4月30日

処理されていない宝石の魅力

先日の出張で不覚にも体調を崩し、ここ2~3日寝込んでしまいました。

その影響で、スタッフをはじめ、取引先や、お客様にもご迷惑をおかけしてしまいましたので、今後は、より一層、体調管理に気をつけて、常に良い状態でいられるように努めていきたいと思います。

さて、今日は、処理されていない宝石の魅力についてブログ更新してみたいと思います。

あまり歓迎すべきことではありませんが、ほとんどの宝石は、原石からカットされた状態では、美しさが足りないため、何からの人的なエンハンスメント、トリートメントが施されます。

ルビーやサファイアは一般的に加熱処理されていますし、エメラルド透明度を改善するために、オイルまたは樹脂が含浸されています。

これらの処理は、一般的に普及している処理として、宝石の価値に影響しない処理として扱われており、実際に、加熱処理されていても、大きくて、美しい石は、高値で取引されています。

一方で、ほとんどが加熱処理されるルビー、サファイアの中でも、わずかではありますが、処理しなくても、美しい石が算出されることがあり、それらの石は無処理(非加熱)の宝石として、その希少性からより高値で取引されています。

同様に、エメラルドでも、オイルや樹脂の含浸処理されていない無処理の石があります。(こちらは、ルビーやサファイアよりもより希少性が高い。)

もちろん、無処理だからといって、美しさに欠ける、魅力のない石は、価値が低いのですが、仮に同じ品質、サイズで、処理されているものと、されていないものでは、その価値には、2-5倍の開きがあります。

先日、福岡三越のグラフに展示してあった3ct台の無処理エメラルドの販売価格は、7,000万円台でした。もちろん、グラフというブランドの価値が加味されての価格ですが、それだけでも、無処理の美しいエメラルドがどれだけ希少性が高いかがイメージしていただけると思います。

当店でも、処理されていない宝石をできるだけご紹介できるように仕入れに力を入れておりますが、数が少ない上に、良いものはとても人気があるので、価格も高く、なかなか思うように仕入れることができないのが現実です。

そんな中でも、先日、とあるオークションにて、非常にレアな宝石を仕入れることができましたので、ご紹介させていただきます。

それは、レッドベリル(通称ビクスバイト)と呼ばれる、赤色のエメラルドの無処理(ノーオイル)石です。

R3 
0.20ctとサイズはとても小さいサイズではありますが、レッドベリル自体がレアストーンである上に、さらに無処理となると、日本国内に存在するかしないか、世界中を探しても、わずかしか存在しないと予想されます。

いずれ、当店でジュエリーに仕立てて、大事に次の世代へ引き継いでいただけるであろうお客様へご紹介させていただきたいと思っています。

2014年4月12日

消費税アップ後の動き

4月から消費税が3%アップし、税率が8%になりました。

当店では、増税分の価格変更は行わずに、そのままの価格で販売させていただいておりますが、おかげさまで、増税後、マイナスの影響はそれほど出ていません。

当店では、良いものは多少高くても買いたいという、品質重視のお客様が多いので、品質と価格を比較して、価格以上の価値を感じるものであれば、仮に3%高くなっていたとしても、購入していただけるのだと思います。

今後も、良いものを、より適正価格で販売できるように、スタッフ一同、サービス向上のための努力を続けていきたいと考えております。

一方で、オークションで取引される宝飾品の相場は、4月に入り、やや慎重なバイヤーが増えてきているように感じています。

それは、夏場にかけて6月くらいから相場が冷え込むリスクを、警戒しているためです。

また、相変わらず、アメリカの景気も不安定な状況なこと、中国の先行き不透明感が強いことなど、経済環境も、決して楽観的な見通しを立てることが出来ない点も、バイヤーを慎重にさせている要因だと思います。

この先、どのように相場が動いていくのかは、なかなか予想が難しいところではありますが、大切なのは、相場の変動に一喜一憂せずに、中庸の精神を持ち、その時の相場をベースに商いを続けていくことだと思います。日々、勉強の気持ちで取り組んでいきます。

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