ジュエリー・バイヤーズ・ダイアリー

相場情報

2014年9月28日

2014年9月香港ジュエリーショー

香港で開催された香港ジュエリーショーの概況です。

「香港宝石展示会が今週開催され、状況は思っていたほど悪くないことが証明されました。
多数の来場者を向かえ、売上は平凡でしたが、バイヤーは商品の品定めに余念がありませんでした。
全体的には、展示会は予想以上の盛況でした。
もともと、ダイヤモンド取引の期待は低く、市場はここ数ヶ月低調で、展示会に向けて研磨石価格は低下していました。
さらに、去年、金の売上が好調だった中国の成長が鈍り、不安定な中国市場への懸念が残っています。」
-RAPAPORT WEEKLY REPORT 21 September 2014 より-

今回のジュエリーショーでは、長い夏休みが終わり、年末年始に向けて、また相場がよくなっていく転換点になることを皆が期待していましたが、実際には、良くも悪くもなくまずまずといった様子だったようです。

売れ筋商品のトレンドとしては、今まで通りの流れで、特に目新しい動きはありませんでした。

具体的には、

・GIAリポート付き商品が人気だが、利益率は低い。
・0.30ct-0.40ct小型ダイヤの需要有。価格はわずかに低下。
・2ct以上のダイヤの需要は低調。
・高級大型石は低調。
・トレンドはD-Fカラー,、FL-VVSクラスの商品から、あらゆるサイズにおいてG-J、VS-SIクラスに移動。
・ダイヤモンドメレ商品の需要は安定。
・ファンシーシェイプが流行。クッション、オーバルが一番人気で、ペア(梨型)がそれに続く。他の形は不人気。
・カラーダイヤモンドが堅調。特に黄色、青、ピンク。

その流れを受けて、9月末に東京御徒町のダイヤモンド専門オークションに商品を出品してみたところ、概ね、上記のトレンド通りの相場となっていました。

特に、1ctアップのD~F、VVSアップの石は、「安ければ買うけど、無理はしない」というバイヤーの気持ちがそのまま現れた相場で、なかなか厳しい状況です。

全体の相場としては、おそらく、年内は横ばいか、少しプラスくらいの動きで、年始については、年末商戦の売れ行き次第というところだろうと思います。

大きなダイヤモンドを売却することをご検討いただいている方には、なかなか難しい状況が続きますが、個人的には、9月は避けて、11月から3月くらいまでのシーズンをお勧めいたします。

2014年9月 6日

宝飾品オークション@銀座

銀座で開催された宝飾品のオークションに出席するために東京滞在中です。

今回のオークションの結果としては、とにかく高額品の売れ行きが良くなかったです。 小さくても品質の良いもの、デザインの良いものは、それなりに相場が良かったのですが、大きな色石、ダイヤモンド、ブランドジュエリーなど、ほとんど売買が成立していませんでした。

おそらく、サイズ感より品質や希少性を求める日本人の参加者が多く、サイズ感重視の外国人バイヤーがほとんど出席していなかったことが一番、大きな要因だと考えられます。 また一方で、魅力的な商品がないから、来なかったというほうが正確かもしれません。

夏から秋にかけては、毎年、相場がよくない傾向にありますので、しばらくはこのような状況が続くものと思われます。また、この先、年末から年始にかけて、相場がよくなるかどうかは、わかりませんが、店舗でのお買取りは、その時々の相場をもとに、ベストプライスで査定ができるように努力を重ねていきたいと思います。 また、宝石の処理の有無や、産地等についても、できる限り、見極めて、宝石の本来の価値をもとに査定ができるように努めてまいります。

さて、 今回は、銀座に宿泊していますが、ホテルの近くに、創業当時から知っているお店「マザーハウス」の銀座店がありましたので、名刺入れを新しく買い換えました。 Mother

画像では色合いは分かりづらいですが、ビジョンブラッド(鳩の血)をもう少し濃くしたような、深みのある赤色です。また気持ちを新たに、日々精進したいと思います。

2014年8月 1日

買い付けダイアリー@名古屋・東京

7月は、暑さに負けず、名古屋と東京に宝飾品の買い付け(オークション)に行ってきました。

今回の目玉は、約8ctのサイズのブルーサファイア。

古い枠で、鑑別(分析)未ですが、おそらく非加熱、ビルマ産の逸品。

S8

結果、予想落札価格の範囲内ではあったものの、予算オーバーで撃沈・・・。

そのほかには、約0.8ctのアウイナイトのリングが出品されており、こちらもチャレンジしましたが、紙一重で落札することができませんでした。

これらの希少性があり、品質の高い石を扱うためには、今以上の販売する力をつける必要があると実感。がんばろう。

全体的には、良いものと、そうでないものの2極化がより進んでいる印象で、希少性の高いもの、品質の高いものは人気が集中し、相場も強気ですが、品質の良くないものは、ほとんど評価されていませんでした。

また、一時期、相場の上昇がとまらない状態であった大粒のカラーストーンは、夏休みを控え、小休憩の相場といった印象でした。

東京での帰りは、日本有数のカレー専門店「スパイスカフェ」で食事をして、帰り道に東京スカイツリーを眺めながら帰路につきました。

今回の買い付けで学んだことを、今後の商いに活かしていきたいと思います。

Tower

2014年5月13日

ダイヤモンド相場サイクル

ダイヤモンド業界には相場のサイクルがあります。

通常、第一四半期(1~3月)が活況だと、その反動で、第二(4~6月)、第三四半期(7~9月)は低調になります。

ここ2~3年は例外なく、そのサイクル通りに相場が動いており、今年も4月は、取引相場はやや低調モードでした。

これから夏にかけて、横ばいかやや弱気な相場が続くことが予想されます。

ただし、国内の取引価格については、ダイヤモンド国際相場+為替の影響がとても大きいので、仮に為替が105円以上の円安になるようであれば、国内価格は、上昇する可能性もあります。

相場の安い時に仕入れて、高い時に売ることができれば、ベストではありますが、株のプロフェッショナルが株の相場先行きを見誤るように、ダイヤモンドの相場も予測がとても難しいです。

ただ、為替などの条件が変わらないのであれば、前述したように、ある一定のサイクルは存在しますので、売買の参考にしていただければと思います。

2014年4月12日

消費税アップ後の動き

4月から消費税が3%アップし、税率が8%になりました。

当店では、増税分の価格変更は行わずに、そのままの価格で販売させていただいておりますが、おかげさまで、増税後、マイナスの影響はそれほど出ていません。

当店では、良いものは多少高くても買いたいという、品質重視のお客様が多いので、品質と価格を比較して、価格以上の価値を感じるものであれば、仮に3%高くなっていたとしても、購入していただけるのだと思います。

今後も、良いものを、より適正価格で販売できるように、スタッフ一同、サービス向上のための努力を続けていきたいと考えております。

一方で、オークションで取引される宝飾品の相場は、4月に入り、やや慎重なバイヤーが増えてきているように感じています。

それは、夏場にかけて6月くらいから相場が冷え込むリスクを、警戒しているためです。

また、相変わらず、アメリカの景気も不安定な状況なこと、中国の先行き不透明感が強いことなど、経済環境も、決して楽観的な見通しを立てることが出来ない点も、バイヤーを慎重にさせている要因だと思います。

この先、どのように相場が動いていくのかは、なかなか予想が難しいところではありますが、大切なのは、相場の変動に一喜一憂せずに、中庸の精神を持ち、その時の相場をベースに商いを続けていくことだと思います。日々、勉強の気持ちで取り組んでいきます。

続きを読む "消費税アップ後の動き" »

2014年3月28日

ダイヤモンド相場 上昇中

3月の第3週にラパポートのプライスリストの上方修正が発表されました。

ラパポートは、世界中のダイヤモンドブローカーが取引の指標にしている取引上の重要なリストです。

このリストのプライスをもとに、全世界のバイヤーがダイヤモンドの価格を算出します。

今回の改訂では、0.3~0.5カラットクラスと1ctアップの大粒ダイヤモンドの価格が上方修正されました。

今後1~3ヶ月は、この価格を元に国内でも活発な取引が予想されます。

ただし、ここ2~3年は、毎年5月をピークに、相場が下がりはじめ、夏から年末にかけて、あまりよくない相場が形成されることが繰り返されている為、十分に注意が必要です。

そのリスクを考えると、短期的な売り時としては、ゴールデンウィーク前までをお勧めいたします。

7~8月は、欧米のブローカーが、ほとんどお休みモードになるため、価格は下落する傾向ですので、その時期は避けるほうが良いかと思います。

大切なダイヤモンド、宝飾品を少しでも高くご売却するために、時期的な視点も取り入れてご検討されてみてはいかがでしょうか。

2014年3月15日

2014年3月香港ジュエリーショー

3月上旬に世界的に注目度の高い香港ジュエリーショーが開催されました。

今年は、実際に会場に足を運ばなかったので、現場の温度感を直に感じることはできませんでしたが、ダイヤモンド等を販売した結果や、同業者の方からの情報、ラパポートのレポート等によると、総じて、期待通りの良い結果だったようです。

以下、ラパポートレポートからの抜粋。

・GIA レポートの付属する商品の需要は全体的に堅調。
・0.30ctから0.50ct、Hカラーダウン、VS-SIクラスのダイヤモンドに根強い需要。
・大きめの石も好調。
・トリプルエクセレントカットのダイヤモンドが堅調で、品薄。
・ファンシーカラーダイヤモンドが人気。
・オーバル、クッションなどのファンシーシェイプの需要が堅調。
・中国人バイヤーは、価格に対して慎重で、価格に敏感だが、活発に動いている。

今年から、材料(ルース等)と製品で会場が分かれて、その影響で、昨年より出展者が約500社増えたことで、全ての出展者のブースに、良質なバイヤーが来ないことによるデメリットが懸念されていましたが、交通等に大きな支障はなく、比較的、人の流れもスムーズだったようです。

ただし、全ての出展者が素晴らしい成果を得られたわけではなく、やはり場所によっては、バイヤーが足を運びにくい場所などもあったようで、期待通りの結果を得られない出展者も少なくなかったようです。

日本でもトレンドは、国内販売よりも、海外での展示会での販売が主流になってきているので、海外のジュエリーショーへ、多くのサプライヤーが進出をしています。

インドや中国のバイヤーの購買力を見ていると、国内のバイヤーに比べて、大きく上回っているのが現実ですので、その流れは仕方がないのかもしれません。

だからと言って、何の戦略も持たずに、ただ海外へ進出しただけでは、短期的には、利益が生まれたとしても、長期的な成功を生むことは難しいと思います。

当社でも、フィールソーグッドらしい商品、価格、海外進出戦略を考えて、準備をしていきたいと考えております。

2014年3月 3日

Signet Jewelers と Chow Tai Fook(周大福)

先月、Signet JewelersZale Corporationを14億ドルで買収したことを発表しました。

この2社はTiffany&Co.とともにアメリカでは収入の面でトップ3の会社で、
この買収により、Signet Jewelersはアメリカ最大の宝石店の地位を確立することになります。

店舗数は、全世界合計で3,653店(アメリカに2,958店舗、イギリスに496店舗、カナダに199店舗)になります。買収により、店舗の統合、閉店は避けられませんが、Signet Jewelersは、
より効率性を高め、より強く大きな会社となると予想されています。

売上では、昨年74億ドルを売り上げたChow Tai Fookに次いで世界第2の宝石小売店になります。しかし、Chow Tai Fookの売上は、金製品、インゴット、コインなどが主ですので、ダイヤモンド宝石店としては、最大になるといわれています。

基本的には、多くのダイヤモンド業者は、この買収を歓迎しています。

より強い小売店が生まれることで、需要が増加し、ダイヤモンド取引が活性化することが期待されているためです。

一方で、Signet Jewelersは、ダイヤモンドの原石からの調達も強化しており、2013年11月には、ボツワナに工場を購入しています。

採掘会社から直接原石を調達し、できるだけ中間マージンを削減し、利益率の改善を目指しているためです。

その割合が大きくなるにつれ、ディーラーと製造業者は、結果的に、巨大宝飾店の圧力に屈してしまうことも危惧されています。

このように、宝飾業界でも、資本を持っている大手が、市場シェアを獲得し、圧倒的な資本力で、広告宣伝、出店戦略、価格戦略で、中小企業へ圧力をかけてくる流れです。

ただし、そんな環境の中でも、自社の強みを磨き、顧客からの信頼を獲得し、事業を永続的に繁栄させている素晴らしいお店もあります。

当社も、売上や規模で上を目指すのではなく、サービスの品質や、商品品質、人の面でのクオリティを高めて、知る人ぞ知る名店と言われるように、精進してまいります。

Kay RAPAPORT WEEKLY REPORT 28 Feb. 2014 より

2014年2月21日

ダイヤモンドレポートの需給バランス

0.3~0.5ctサイズのダイヤモンド取引相場が2013年に約10%上昇したことにより、世界のダイヤ業界では、1つの問題が発生しています。

それは、GIA(鑑定機関)に持ち込まれるダイヤモンドの数が増えて、鑑定書作成に大幅な遅れが生じているようです。

具体的には、通常は2~5日程度で作成されるはずの鑑定書(レポート)が、今では、40~50日程度かかってしまう状況となっているようです。

特に中国では、信頼できる第3者の保証に強い需要があり、世界的に信頼されているGIAの鑑定書に対する需要が急増してことが問題の原因となっています。

GIAの副社長で主席研究員でもあるThomas Moses氏は、対策として次のように述べています。「私たちは、急増する鑑定書需要に対応するために歴史的な雇用増加と拡大計画を承認しました。まず、すべての研究所で研究員を50%増やします。インドの研究スペースを拡大し、タイの施設を改築し、来月はニューヨーク支店を広い敷地に移転予定です。」

ただし、研究員(鑑定士)を増員したとしても、ある一定機関の訓練が必要ですので、短期的には、レポート作成の遅れという問題は解決しないと予想されています。

今のところ、日本にあるGIA東京ラボでは、海外にラボに比べて、大幅な遅れは発生していませんが、もしかしたら、ニューヨークやムンバイのラボから、鑑別業務が振り分けられて、日本でも、今までよりも時間がかかるような状況になる可能性も否定できません。

ただし、需給バランスが大幅にプラスに振れた後には、その反動で、必ずと言っていいほど、マイナスに振れる可能性が大いに考えられます。

何事も「中庸」というものを大切にする必要がありそうですね。

2014年1月31日

宝飾品オークション

今月も、東京の御徒町などの宝飾品(ジュエリー)オークションへ出席してきました。

ジュエリー専門のプロが、それぞれ自分達の商品を持ち込んで、オークションを開催しているので、とてもハイレベルな取引が繰り広げられます。

その宝石が美しさを見極め、処理の有無、産地等について各々が鑑別を行い、最終的にいくらまで値踏みするのかを、自分なりに評価し、セリに臨みます。

その道数十年のプロ達の中で、勝負するためには、自分なりの強みを発揮する必要がありますので、この種類の宝飾品であれば、負けないという領域を作り上げていくことが大切です。

当店では、インターネットでの販売が主となりますので、まずはブランドジュエリー、特に定番ものではなく、希少性の高いものやデザインがおもしろいものに力を入れております。

そして、品質の高いカラーストーン。特にスリランカやミャンマー産の無処理(非加熱)のルビーやサファイア、ブラジル産のアレキサンドライト、パライバトルマリン等に注力しております。

最後に、ダイヤモンド。その中でも、ブルーやピンク、イエローのカラーダイヤモンドの取り扱いを増やしていきたいと考えております。

今回もいくつか欲しい商品があり、そのうち、数点は仕入れることができましたが、予想以上に価格が高く、手の届かなかった宝飾品もありました。

パレット状にプレイオブカラーが現れる3ctアップのブラックオパールリングも、残念ながら、仕入れることができませんでした。売り主の最低希望価格は120万円以上・・・良いモノは相場云々ではなく、高い!それは、希少性が高いから当たり前なのでしょう。またしっかりと勉強して今後に活かしていきたいと思います。

Bop38