ジュエリー・バイヤーズ・ダイアリー

相場情報

2014年1月11日

2014年ダイヤモンド相場見通し

2014年、ダイヤモンド業界では警戒感より楽観主義の方が勝っています。

中国では、2020年までに中国経済を政府コントロールから、市場経済主義に変革しようとしています。
この移行期間において、経済の停滞は避けられないと予想されていますが、世界第2位の経済大国である中国が、市場経済主義を推し進めれば、警戒感を抱えながらも、ダイヤモンド産業は成長が見込まれています。

たとえば、中国経済は徐々に成熟ステージに入ってくると予想されますが、このことは、投機的な買いで、非合理な相場が形成されることのリスクを下げ、本当の需要にあった合理的で確実な売買が行われるようになる点で、喜ばしいことです。

また、人口が14億人に近づき、若年層が増えることで、ブライダル関係のダイヤモンド需要が伸びることが予想されます。

一方で市場が成熟するにつれ、嗜好も変化してきています。
全体的な流れとしては、低品質のダイヤモンドの需要が伸びてきていて、特にSIクラスのクラリティのダイヤモンドの人気が高くなってきています。
2013年0.3~0.4ctのSIクラスのダイヤモンド価格の上昇は、中国人の需要に支えられた結果です。

中国の宝飾品業者は、ダイヤモンドの需要を利用して成長を確保したいと考えているようです。
金(ゴールド)の販売よりも、ダイヤモンドのほうが利益率が良いためです。

中国経済の今後については、数多くの不安要素があり、なかなか予想が難しいですが、本当の意味で市場経済主義を目指し、実現させることができれば、ダイヤモンド業界にとっては、歓迎すべきことでしょう。

China RAPAPORT WEEKLY REPORT 10 Junuary 2014 より

2013年12月31日

2013年大晦日

2013年は、相場の変動が大きな1年になりました。

日経平均が57%上昇、円が対ドルで18%下落(円安)、金の国際価格は28%下落など。

また、カラーストーンの相場が約30%上昇、ダイヤモンドの1ct未満が約10%上昇、1ct以上が約5%下落など、宝飾品の相場も変動が大きな年でした。

リーマンショック以降、日本国内においては、基本的には円高、デフレの流れで、厳しい環境の中での舵取りが求められましたが、今年に入り、急に風向きが変わり、円安、インフレの流れとなりました。

180度違う状況での舵取りは、また全く違うものとなり、なかなか判断の難しい局面が多くありましたが、そのような環境下でも、大きな間違いを起こすことなく、しっかりと地に足をつけて、成長することができたのは、日々、お客様満足の向上を考え、尽力してくれるスタッフのおかげで、とても感謝しています。

また、取引先・関係者の皆様のご協力のおかげでもあります。ありがとうございます。

様々な方の力を貸していただき、サービス品質の向上に努めた結果、多くの良いお客様とのご縁をいただき、本当に実りの多い一年となりました。

一方でまた来年以降へ持越しとなった課題もありますので、反省すべきはしっかりと反省して、より良い品質の実現を目指してスタッフ一同、尽力してまいります。

それでは、皆様、良いお年をお迎えください。ありがとうございます。

2013年12月27日

2013年12月相場プレビュー

ここ数年は12月になると、翌年の先行き不安から、相場が軟調になることが多かったように思いますが、今年は、例年とは違い、12月も宝飾品の相場が下がらず、横ばいかやや強気な相場模様でした。

特に高いのが、ダイヤモンド(特に1ct未満の小さいサイズ)と、カラーストーン(特にエメラルドやルビー、サファイア)。

ダイヤモンドは、夏の間、様子見ムードの強かったインド人バイヤーが年末から積極的に「買い」に入っていることが全体的な相場の上昇を招いています。

カラーストーンは、インド人、中国人、日本人と玉石混合の様子で、特に品質の高いエメラルドや、無処理(非加熱)のルビー、サファイアは、まだ相場が上がり続けている印象です。

その影響なのか、レッドトルマリン=ルベライトや、グリーントルマリンの相場も高くなってきました。

逆に、軟調な相場となっているのが貴金属(金・プラチナ)です。

海外では、一時1700ドル以上あった金価格も、現在は、1200ドル近辺。実に3割程度の下落となっています。それでも国内取引価格は大きな変化がないのは、ドル円の為替が2~3割程度、円安となっているためです。

これが仮に円高に少し動くと、国内の貴金属価格は、大きく下落してしまいますので、貴金属相場の今後の値動きは十分、注意が必要な状況です。

今後の焦点としては、2014年4月の消費税増税後の相場の動きがどうなるのかがポイントとなりそうです。

大方の見方としては、増税の影響で、消費が停滞し、一時的には相場が下落する可能性が高いのですが、2020年のオリンピック開催に向けて、全体的な相場は上昇し続けると見られています。

今までのデフレの環境と、180度異なる環境となり、大きな変化となりますが、その変化に合わせて、自分達が変わっていくことがとても大切だと思います。今は、まさに適応力の時代ですね。

2013年12月 9日

11月のダイヤモンド市況

11月は、クリスマスショッピングシーズンの需要が高まり研磨済みダイヤモンド価格は安定的でした。

ラパポートの相場インデックスによると、11月は0.3ct:1.4%上昇、0.5ct:0.2%上昇、1.0ct:0.1%下落、3.0ct:0.3%下落という数値になりました。

グレード的にまずまずの需要があったのは、カラーH~J、クラリティSI1~SI2クラスのダイヤで、その他、特に需要が高かったのが、高品質なカラーダイヤモンドでした。

原石ダイヤモンド取引はデビアスが11月のサイトで価格を約3-5%下げたので改善されました。 12月に予定されている今年最後のサイト(取引会)は、サイトホールダー(取引権利を持つ業者)が前回のサイトで購入を先送りしたので、かなり大規模なものになる予定です。特に大きな原石の入札には需要が高く、高価格になると予想されています。

世界のダイヤモンド市場はホリデーシーズンに後押しされて何とか好調を維持していますが、過去数年のレベルより全体的な取引は低調です。

今後の流れとしては、12月と1月は、アメリカのクリスマス商戦で最後の追い込みがあり、また1月31日に始まる中国の正月に備えて、需要が高まるので若干、楽観的なムードが漂っています。

一方で、中国の景気先行き懸念や、腐敗撲滅キャンペーン等により、特にサイズの大きなダイヤモンドの相場は流動的で、注意が必要になりそうです。

2013年11月21日

2013年カラーストーン相場

2013年は、低調なダイヤモンド相場とは異なり、カラーストーン相場は大幅に上昇しました。

特に、中国で人気の高い赤や緑のカラーストーン(=赤さんご、ジェダイト(翡翠)、ルビー、エメラルド等)の相場上昇はバブルの様相です。感覚ベースですが、2012年よりも3~5割程度、上昇した印象です。

また、最近では、ルビーやサファイアの良質でサイズの大きなものは、古くからの産地(アジアエリア)での産出量が減少しているため、アフリカ産のものがとても多くなってきています。

もちろんアフリカ産のものでも良いものはありますが、アジア(ミャンマー、スリランカ、カシミール地方等)の人気は根強く、それらの産地の宝石を求めて、日本に埋蔵するユーズド・ジュエリーへの注目が高まり続けています。

来年もこの調子で相場が上昇し続けるのか否かは分かりませんが、ずっと上がり続けることは考えにくいので、どこかのタイミングで一度、調整が入るのではないかと思います。

一方で、長期的には、天然で良質なものは、数が少なくなることは明白なので、相場が上がっていくことが予想されます。

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2013年11月11日

インドのダイヤモンド輸入税アップ?

インド政府が研磨済みダイヤモンドの輸入税を2%から5%に引き上げることを検討しているようです。

今回の増税の動機は、インド国内の小規模製造業者を研磨済みダイヤモンド貿易から守るというものです。

保護貿易的な考え方は、時代遅れな気がしますが、日本でも、国内産業保護のために、同じようなことをしているので、どこの国でも、やることは同じようです。

下のグラフを見れば分かるように、2012年に比べて、2013年は、インドの研磨済みダイヤモンド輸入量も回復基調ではあるのですが、本当に、この増税が実施されると、また大きく下落してしまうことが予想されます。

India RAPAPORT WEEKLY REPORT 1 November 2013 より

日本においても、インド人バイヤーの動向次第で、大きく相場が変動する状況なので、本当に増税されるのか否か、注意して見守っていく必要がありそうです。

2013年10月27日

カラーダイヤモンドブーム?バブル?

無色のダイヤモンド相場が軟調な動きを見せる中、カラーダイヤモンドの相場が10年間、上昇し続けています。

特にこの1~2年で、ピンクダイヤモンドの相場が約30%、ビビットイエローダイヤモンドの相場が35%、低品質のイエローダイヤモンドが約10%、ファンシーブルーダイヤモンドの相場が約35%上昇しました。

理由としては、カラーダイヤを好む中東やアジアの投資家の需要が高まったこと、それに伴い、カラーダイヤを扱うバイヤー、サプライヤーが増加したことが大きな要因です。

一方で、投資家の関心がさめてしまった場合に起こる急激な相場の下落=バブル崩壊を心配する声も少なからず聞くことができます。

このカラーダイヤモンド相場の上昇、人気がこのまま続くのか、または、一時的なバブルなのか、相場の行方に注意が必要です。

個人的には、希少性が高い、サイズの大きく、色が鮮明なカラーダイヤモンドについては、今後も、価格が上昇し続けるだろうと考えています。

カラーの鮮明さはもちろんですが、今後は、クラリティの高さについても、重要度がより増してくるものと思います。

11月に世界最大のオレンジダイヤモンドがクリスティーズのオークションに出品される予定です。

オレンジ(Ⅱ型)、VS1、ペアシェイプカット。予想落札価格は、17億~20億円となっています。

OrangeRAPAPORT WEEKLY REPORT 18 October 2013 より

2013年10月14日

Sotheby’s Hong Kong Auction on October 7, 2013.

2013年10月7日にサザビーズの宝飾品オークションが開催されました。

出品された商品全体の75%が売買成約し、総額約100億円!の出来高だったそうです。

今回のオークションの目玉として出品された商品の1つが、「The Premier Blue」と命名されたラウンドブリリアントカットの7.59ct、FANCY VIVID BLUE、IF(GIA)のダイヤモンド。

The_premier_blueオークションの結果は・・・約15億8千万円(1ct当たり2億8百万円)。

対して、売り手の希望価格が約18億6千万円(1ct当たり2億4千5百万円)・・・すさまじい世界です。

一方で、ホワイトダイヤモンドの落札価格として、史上最高額を更新したダイヤモンドがこちら↓

「118カラットのホワイトダイヤに史上最高額、香港サザビーズオークション」

http://www.afpbb.com/articles/-/3001009

オークション全体の買い手としては、アジアのコレクターが大部分を占めていたようです。

最近、業界的には、明るいニュースが少なかったので、このように高額なダイヤモンドの取引が行われるだけでも、うれしい限りです。

そして、いつかは、当社でも・・・。

2013年10月 5日

インドダイヤモンド産業の危機

インドのダイヤモンド産業が2008年のリーマンショック以来の危機的な状況に立たされているようです。

急激なルピー安のため、ダイヤモンド原石を購入して、研磨後、輸出しようとしても、利益が出ないことが一番の要因です。

また、そのような状況を見た銀行が、融資をストップしているため、資金的にも困窮している企業がほとんどです。

そして、もはや、0.3ct未満のダイヤモンドの研磨は、ほとんどストップしているのが現状のようです。

そのため、最近では、アメリカや東アジアの強い需要に応えるため、研磨済みのダイヤモンドの価格が上昇しています。

原石の価格は主に、デビアス社がコントロールしていますが、このような状況では、今のままの原石価格では、市場の需要供給のバランスがおかしいので、遅かれ早かれ、原石価格も見直しされるようになるかもしれません。

そうなった場合に、すでに研磨されたダイヤモンドの価格にも影響が出るのか否かが、非常に気になるところです。

最近のインド人のバイヤー、サプライヤーを見ていると、できるだけ、大きなダイヤモンドを手放したがっている(売りたがっている)ように感じますので、このままいくと、おそらく原石ダイヤモンド、研磨ダイヤモンドともに、少し価格が下落する可能性が高いのだろうと思います。

日本では、円安の影響で、価格が保たれていますが、インドの状況は、とても不安定で、主要な需要国である中国も、先行きは不透明なので、今後の相場の動きには十分に注意が必要になりそうです。

ではいつ売るのか?今で・・・それぞれの判断で。

Indiam RAPAPORT WEEKLY REPORT 4 October 2013 より

2013年9月27日

インド人バイヤー西へ南へ

一昔前までは、東京-山梨(甲府)間でのみ活動していたインド人バイヤーが西へ南へ精力的に動いています。

従来とは異なる開かれた新しいスタイルのオークションが日本各地で続々とスタートしているためです。

従来、オークションは、質屋さんや、古物屋さんと呼ばれる日本の業者さんのみが参加できるセリ市場でしたが、昨今では、この業界も開放、グローバル化が進み、中国やインドのバイヤーが、日本人と席を並べて、オークションに参加する光景が当たり前になってきました。

そんなインド人バイヤーは、能力が非常に高く、資金が潤沢で、駆け引きが得意なので、参加しているオークションですごい勢いで商品を仕入れています。

今のところは、関東~中部までの進出で、関西~九州にかけては、まだ目立つ動きはありませんが、そう遠くない未来には、日本全国の市場(オークション)で外国人バイヤーが見られる時代が来るかもしれません。

そうなると、今までは、日本人バイヤー同士の勝負だったのが、インド人や中国人などの外国人バイヤーも勝負に加わることになりますので、当然、力のないバイヤーは淘汰されていくことになると予想されます。

さて、そうなってから慌てて準備しても間に合わないことは目に見えていますので、今から何らかの対策を考えておくことが大事です。

目指すべきは「戦わずして勝つ」。

環境の変化に合わせて、柔軟に対応できるように、しっかりと準備していきたいと思う今日この頃です。