先日、日銀がマイナス金利政策を発表いたしました。
昨年末にアメリカがゼロ金利を解除して、金利を今後、段階的に上げていくという方針を打ち出しましたが、日本は逆に、更に金利を下げるという政策を打ち出し、世界経済に衝撃を与えたようです。
この政策の狙いは、世の中に流通する貨幣(円)の量を増やすことで、物価の上昇、賃金の上昇、企業の設備投資、円安、株高などの連鎖を誘発することだと思います。
実際、一時的ではありますが、政策を発表した後は、ドル円の為替相場が118円→121円となり、日経平均も約600円上昇しました。
まさに、狙った通りの市場の反応と言えますが、実際のところは、そう簡単な話でもないようで、中長期的に本当に効果が期待できるのか、疑問を持っている人も多いようです。
また、日本政府、日銀が描いているように、本当に物価の上昇が安定的に実現するのであれば、貨幣の価値が下がり、モノの価値が上がるということですので、もし、金やプラチナ、ダイヤモンドの売却を検討している場合、できるだけ売らずに持っていた方が、値上がりを期待できることになります。
円安で海外の貨幣価値に対して、円の価値が下がるので、資産を円で保有するより、実物資産で保有したほうが良いという選択が正しい時代になってくる可能性があります。
しかし、日本政府、日銀の思惑通りにいかないのが、海外の情勢です。
実際、金の国際相場(海外取引相場)は、2012年9月をピークに、下落が続いているため、国内の取引相場も、軟調に推移しています。
期間:2010年01月~2015年12月
青線:海外ドル建価格、赤線:田中貴金属 税抜参考小売価格
ダイヤモンドやプラチナ、色石(カラーストーン)なども同様に、中国などの需要減退に比例して、相場が下落しています。
そこがなかなか難しいところで、「物価が上がるから、売らずに持っておこう。」という選択が必ずしも正しいとは言えないわけです。
では、今後はどのような展開になるのか?
それは、予想が難しいところですが、2020年の東京オリンピックを控えて、国内の経済が力強く成長するか否かは、今年が正念場となるのではないかと、市場の参加者は考えているようです。
私たちも、よくお客様に「今は売り時ですか?」とよく聞かれますが、正直分からないので、極力、起こった過去の事実だけをお伝えするようにしています。そして、先のことは予想が難しいこともお伝えし、その上で、現在の相場を元に適正な査定ができるように努めております。
「木を見て森を見ず」→「木をみて森も見る」を心がけ、現場の視点を大切にしながらも、世界経済の動向など大きな視点からも学び、日々の商いに励んでまいります。
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