ジュエリー・バイヤーズ・ダイアリー

2013年12月

2013年12月31日

2013年大晦日

2013年は、相場の変動が大きな1年になりました。

日経平均が57%上昇、円が対ドルで18%下落(円安)、金の国際価格は28%下落など。

また、カラーストーンの相場が約30%上昇、ダイヤモンドの1ct未満が約10%上昇、1ct以上が約5%下落など、宝飾品の相場も変動が大きな年でした。

リーマンショック以降、日本国内においては、基本的には円高、デフレの流れで、厳しい環境の中での舵取りが求められましたが、今年に入り、急に風向きが変わり、円安、インフレの流れとなりました。

180度違う状況での舵取りは、また全く違うものとなり、なかなか判断の難しい局面が多くありましたが、そのような環境下でも、大きな間違いを起こすことなく、しっかりと地に足をつけて、成長することができたのは、日々、お客様満足の向上を考え、尽力してくれるスタッフのおかげで、とても感謝しています。

また、取引先・関係者の皆様のご協力のおかげでもあります。ありがとうございます。

様々な方の力を貸していただき、サービス品質の向上に努めた結果、多くの良いお客様とのご縁をいただき、本当に実りの多い一年となりました。

一方でまた来年以降へ持越しとなった課題もありますので、反省すべきはしっかりと反省して、より良い品質の実現を目指してスタッフ一同、尽力してまいります。

それでは、皆様、良いお年をお迎えください。ありがとうございます。

2013年12月27日

2013年12月相場プレビュー

ここ数年は12月になると、翌年の先行き不安から、相場が軟調になることが多かったように思いますが、今年は、例年とは違い、12月も宝飾品の相場が下がらず、横ばいかやや強気な相場模様でした。

特に高いのが、ダイヤモンド(特に1ct未満の小さいサイズ)と、カラーストーン(特にエメラルドやルビー、サファイア)。

ダイヤモンドは、夏の間、様子見ムードの強かったインド人バイヤーが年末から積極的に「買い」に入っていることが全体的な相場の上昇を招いています。

カラーストーンは、インド人、中国人、日本人と玉石混合の様子で、特に品質の高いエメラルドや、無処理(非加熱)のルビー、サファイアは、まだ相場が上がり続けている印象です。

その影響なのか、レッドトルマリン=ルベライトや、グリーントルマリンの相場も高くなってきました。

逆に、軟調な相場となっているのが貴金属(金・プラチナ)です。

海外では、一時1700ドル以上あった金価格も、現在は、1200ドル近辺。実に3割程度の下落となっています。それでも国内取引価格は大きな変化がないのは、ドル円の為替が2~3割程度、円安となっているためです。

これが仮に円高に少し動くと、国内の貴金属価格は、大きく下落してしまいますので、貴金属相場の今後の値動きは十分、注意が必要な状況です。

今後の焦点としては、2014年4月の消費税増税後の相場の動きがどうなるのかがポイントとなりそうです。

大方の見方としては、増税の影響で、消費が停滞し、一時的には相場が下落する可能性が高いのですが、2020年のオリンピック開催に向けて、全体的な相場は上昇し続けると見られています。

今までのデフレの環境と、180度異なる環境となり、大きな変化となりますが、その変化に合わせて、自分達が変わっていくことがとても大切だと思います。今は、まさに適応力の時代ですね。

2013年12月17日

カラーストーンの産地について

以前に比べて、カラーストーンの「産地」の重要性が高まってきています。

それは、今まで産出されていなかった地域、特にアフリカ大陸から、様々な宝石が採掘され、市場に流通していることが大きな原因です。

例えば、モザンビーク産やタンザニア産、マダガスカル産のルビーやサファイア。モザンビーク産のパライバ・トルマリン。マダガスカル産のアクアマリンなどです。

普段、私たちが口にする食物は、生産地の情報開示が進んでいて、スーパーなどでも、必ずどこでとれたものなのかを表示する義務がありますが、宝飾品業界は、その点では、とても遅れていて、産地を開示して販売するお店がとても少ないのが実状です。

その原因は、宝石が採れた産地から、小売店などに直接仕入れることができれば、どこの産地であるかを確実に開示できるのですが、多くの宝石の場合、原産地で採れたものは、一旦、タイやインドなどの宝石集積地に集められて、そこで研磨や処理の工程を経てから、さらに宝石輸出入業者の手を経て、小売店に流通しているため、産地についての情報が、曖昧になってしまっています。

また、一旦、分からなくなった産地を調べるには、鑑別機関で産地証明を取得する必要がありますが、その費用が30,000円程度必要なので、よほど高価な宝石でないと、その証明コストが合わず、結局、産地不明のまま、流通・販売されることになります。

当店でも、できるだけ産地に関する情報を開示するように努めておりますが、まだまだ判断が難しい石も多く、産地不明で販売せざるを得ない商品があるのが実状です。

ただし、特に高額なカラーストーンで、産地がどこであるかが重要な宝石に関しては、極力、鑑別機関で産地証明を取得するなどして、よりお客様に安心して宝石の購入を楽しんでいただけるように、力を尽くしていきたいと考えております。

また同時に、アフリカ産だから、一律に悪いということではなく、アフリカ産でも、もちろん良いものは採れますので、産地に捉われすぎずに、あくまでもその石が美しいか否かという原点を大切にしていきたいと考えております。

そして、カラーストーンは品質評価の知識、カットについての知識、処理方法の知識、産地の知識など、とても奥が深くおもしろい宝石なので、今後も継続して勉強していき、よりレベルの高い商品説明や、情報提供ができるようにスタッフ一同、協力して取り組んでまいります。

ミャンマー産 非加熱ルビー

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2013年12月 9日

11月のダイヤモンド市況

11月は、クリスマスショッピングシーズンの需要が高まり研磨済みダイヤモンド価格は安定的でした。

ラパポートの相場インデックスによると、11月は0.3ct:1.4%上昇、0.5ct:0.2%上昇、1.0ct:0.1%下落、3.0ct:0.3%下落という数値になりました。

グレード的にまずまずの需要があったのは、カラーH~J、クラリティSI1~SI2クラスのダイヤで、その他、特に需要が高かったのが、高品質なカラーダイヤモンドでした。

原石ダイヤモンド取引はデビアスが11月のサイトで価格を約3-5%下げたので改善されました。 12月に予定されている今年最後のサイト(取引会)は、サイトホールダー(取引権利を持つ業者)が前回のサイトで購入を先送りしたので、かなり大規模なものになる予定です。特に大きな原石の入札には需要が高く、高価格になると予想されています。

世界のダイヤモンド市場はホリデーシーズンに後押しされて何とか好調を維持していますが、過去数年のレベルより全体的な取引は低調です。

今後の流れとしては、12月と1月は、アメリカのクリスマス商戦で最後の追い込みがあり、また1月31日に始まる中国の正月に備えて、需要が高まるので若干、楽観的なムードが漂っています。

一方で、中国の景気先行き懸念や、腐敗撲滅キャンペーン等により、特にサイズの大きなダイヤモンドの相場は流動的で、注意が必要になりそうです。

2013年12月 4日

鑑別書に見られる日本と世界の違い

GIAの東京ラボができて以来、当社でも、カラーストーンやダイヤモンドの鑑別・鑑定でお世話になっています。

GIAでは簡易鑑別(日本でのソーティングメモ)サービスは行っていないため、鑑別料金は、日本の 鑑別機関の料金に比べて数倍高いのですが、それでも、その鑑別技術・品質を考えるとやむを得ないかと思います。

例えば、ルビーの鑑別において日本の鑑別機関において

「色の変化を目的とした加熱が行われています」

というコメントがついた宝石が、GIAでレポートを作成すると、以下のようなコメントが記載される場合が多いです。

「Indications of heating with minor residues in fissures.」=「加熱の痕跡と亀裂にわずかな残留物を認める」

ルビーは加熱処理する過程で、保護のために使うborax(硼砂)が融けてガラス状になり亀裂に残ることが多いため、GIAでは残留物の程度に応じて、コメントを使い分けています。

日本では、少しの残留物は当たり前・しょうがないという認識なのか、残留物が少ない場合には、あえてコメントしないケースが多いようです。

同様にエメラルドの無色透明材の含侵も、日本では「透明度の改善を目的とした無色透明材の含浸が行われています。」と1パターンのみですが、GIAでは含浸の程度を「わずかな」・「中程度」・「著しい」に分けてコメントしています。

つまり、日本の鑑別よりも、GIA(世界)の鑑別のほうがより、処理コメントの開示がより、厳密で、レベルが高いように感じています。

日本で普段、日本の鑑別書しか取り扱っていないと、世界標準が分からずに、日本の鑑別書があれば、世界でも通用すると思い込んでしまいがちです。しかし、実際には、日本国内でしか通用しない鑑別書が多いのが、現実のようです。

カラーストーンの鑑別で、国内で信頼できる機関は、中央宝石研究所、ジェムリサーチジャパンの2社ですが、今後は、世界的に信頼度の高いGIAが運営するGIA東京ラボも少しづつ存在感を大きくしていくかもしません。

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