ジュエリー・バイヤーズ・ダイアリー

2013年12月 4日

鑑別書に見られる日本と世界の違い

GIAの東京ラボができて以来、当社でも、カラーストーンやダイヤモンドの鑑別・鑑定でお世話になっています。

GIAでは簡易鑑別(日本でのソーティングメモ)サービスは行っていないため、鑑別料金は、日本の 鑑別機関の料金に比べて数倍高いのですが、それでも、その鑑別技術・品質を考えるとやむを得ないかと思います。

例えば、ルビーの鑑別において日本の鑑別機関において

「色の変化を目的とした加熱が行われています」

というコメントがついた宝石が、GIAでレポートを作成すると、以下のようなコメントが記載される場合が多いです。

「Indications of heating with minor residues in fissures.」=「加熱の痕跡と亀裂にわずかな残留物を認める」

ルビーは加熱処理する過程で、保護のために使うborax(硼砂)が融けてガラス状になり亀裂に残ることが多いため、GIAでは残留物の程度に応じて、コメントを使い分けています。

日本では、少しの残留物は当たり前・しょうがないという認識なのか、残留物が少ない場合には、あえてコメントしないケースが多いようです。

同様にエメラルドの無色透明材の含侵も、日本では「透明度の改善を目的とした無色透明材の含浸が行われています。」と1パターンのみですが、GIAでは含浸の程度を「わずかな」・「中程度」・「著しい」に分けてコメントしています。

つまり、日本の鑑別よりも、GIA(世界)の鑑別のほうがより、処理コメントの開示がより、厳密で、レベルが高いように感じています。

日本で普段、日本の鑑別書しか取り扱っていないと、世界標準が分からずに、日本の鑑別書があれば、世界でも通用すると思い込んでしまいがちです。しかし、実際には、日本国内でしか通用しない鑑別書が多いのが、現実のようです。

カラーストーンの鑑別で、国内で信頼できる機関は、中央宝石研究所、ジェムリサーチジャパンの2社ですが、今後は、世界的に信頼度の高いGIAが運営するGIA東京ラボも少しづつ存在感を大きくしていくかもしません。

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