ジュエリー・バイヤーズ・ダイアリー

2013年11月

2013年11月21日

2013年カラーストーン相場

2013年は、低調なダイヤモンド相場とは異なり、カラーストーン相場は大幅に上昇しました。

特に、中国で人気の高い赤や緑のカラーストーン(=赤さんご、ジェダイト(翡翠)、ルビー、エメラルド等)の相場上昇はバブルの様相です。感覚ベースですが、2012年よりも3~5割程度、上昇した印象です。

また、最近では、ルビーやサファイアの良質でサイズの大きなものは、古くからの産地(アジアエリア)での産出量が減少しているため、アフリカ産のものがとても多くなってきています。

もちろんアフリカ産のものでも良いものはありますが、アジア(ミャンマー、スリランカ、カシミール地方等)の人気は根強く、それらの産地の宝石を求めて、日本に埋蔵するユーズド・ジュエリーへの注目が高まり続けています。

来年もこの調子で相場が上昇し続けるのか否かは分かりませんが、ずっと上がり続けることは考えにくいので、どこかのタイミングで一度、調整が入るのではないかと思います。

一方で、長期的には、天然で良質なものは、数が少なくなることは明白なので、相場が上がっていくことが予想されます。

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2013年11月11日

インドのダイヤモンド輸入税アップ?

インド政府が研磨済みダイヤモンドの輸入税を2%から5%に引き上げることを検討しているようです。

今回の増税の動機は、インド国内の小規模製造業者を研磨済みダイヤモンド貿易から守るというものです。

保護貿易的な考え方は、時代遅れな気がしますが、日本でも、国内産業保護のために、同じようなことをしているので、どこの国でも、やることは同じようです。

下のグラフを見れば分かるように、2012年に比べて、2013年は、インドの研磨済みダイヤモンド輸入量も回復基調ではあるのですが、本当に、この増税が実施されると、また大きく下落してしまうことが予想されます。

India RAPAPORT WEEKLY REPORT 1 November 2013 より

日本においても、インド人バイヤーの動向次第で、大きく相場が変動する状況なので、本当に増税されるのか否か、注意して見守っていく必要がありそうです。

2013年11月 4日

人工合成ダイヤモンド(CVD)の問題

人工ダイヤモンド(通称CVD)の問題が懸念されています。

国際的な鑑別機関IGIでは、2012年5月にアントワープとムンバイで、天然ダイヤモンドとして持ち込まれた何百もの人工ダイヤを鑑別したそうです。

IgiRAPAPORT WEEKLY REPORT 25 October 2013 より

合成ダイヤを製造しているシオ・ダイアモンド・テクノロジー株式会社のCEOによると、2014年の夏までに現在の年間生産量(30,000〜40,000カラット)の10倍の生産を実現するための設備を中国に設置するために米国とイスラエルのパートナーと合弁会社設立契約に署名したそうです。

それらの人工ダイヤモンドを鑑別することは技術的に可能ではありますが、問題は、0.05ct未満の小さなメレダイヤのCVDを、天然のメレダイヤに混ぜて流通させる悪質な業者の存在が懸念されています。

0.3ctのCVDを鑑別することと、0.01ctのCVDを鑑別することと、手間や時間は同じなので、鑑別するダイヤの数が小さくなり、数が増えるほど、鑑別するコストもそれに応じて増加するため、0.05ct未満のダイヤモンドが、CVDのチェックをされずに、市場に流通するリスクが高くなってしまいます。

これまでは、メインのカラーストーンやダイヤモンドの鑑別のみ取得して、脇石の鑑別については、特に、鑑別をしていない製品が多く流通していますが、今後は、脇石(ダイヤモンド)についても、鑑別を行っていくことが当たり前の時代になってくるかもしれません。

当社でも、知らず知らずのうちに、人工ダイヤモンドを取り扱ってしまうリスクを最小限に抑えるために、鑑別機関との協力関係をより密にしていきたいと思います。